入塾年齢:19歳
進学先:セントマーチンズ大学 理学部生物学科(米国滞在歴5年)
現在の所属:株式会社ぱぴりお Papilio English Academy 東京本校 総務部長
1. 不登校し、ダルボイ・アカデミーに入塾するまでの様子は?
A. 不登校をし始めたのはいつですか?
学校でいじめに遭い、そこから行きづらくなり、休みながら週に2~3日学校へ行くのを高校に入るまで続けていました。
B. 自宅に引きこもったことはありますか?
高校卒業後、約1年間引きこもりました。高校3年生の最後、大学受験の会場に行く途中で、周りの受験生と競って蹴落としてまで自分は何がしたいのかわからなくなり、そこから受験勉強もやめました。
C. 不登校し始めたとき、どのような気持ちでどのような生活を送っていましたか?
いじめが始まってから、当時一番仲のいい友人がいじめてくる側に回り、誰も信じられなくなりました。とにかく人と会うことが怖く、誰とも会いたくない、何も考えたくない、とふさぎ込む毎日でした。
学校に行かない日は昼まで寝ていて、昼過ぎに起きてゲームなどをして過ごし、家族が帰ってくる夕方になるとまた部屋にこもり、夜中まで起きていました。
また、普通に休ませてくれるような親ではなかったので、熱や咳、腹痛や頭痛など、ありとあらゆる仮病を使って何とか休んでいました。
D. そのときの家族の反応はどうでしたか?
先に3つ年上の兄の方が不登校をしていた時期があったこともあり、両親としては「せめて下の子の方はまともに行ってほしい」という気持ちがあったようで、とても焦っていました。特に母親は「なぜ行きたくないのか説明しろ」と強い剣幕で、とても相談できるような雰囲気ではありませんでした。
E. そのとき特につらかったことは?
兄が高校で本格的に不登校し始めたころ(私は中学生の頃)だったと思いますが、2人揃って学校を休んでいるときなど、昼間に精神的に不安定な兄が家のベランダでいつ飛び降りようかと外を眺めていました。夕方になると、思い悩んでヒステリックになった母親が同じくベランダで食器を割っていました。今でも思い出すと、何もできない無力感や、自分がそうさせていることの罪悪感などが蘇ってきます。
F. そのとき、今から思えば、びっくりすることは?
二つありますが、一つ目は一番辛かったはずの小学生、中学生の頃の記憶がほどんどないことです。断片的な記憶はありますが、普段何をしていたか、どんな人といたかなど、思い出せないことが多いです。
二つ目は、外出から帰ってくる家族の足音がわかったり、家族のその日の機嫌や調子などを空気で感じ取っていたことです。朝起きて、布団の中にいる間に母の機嫌や兄の調子を感じ取り、「今日は休むと親が怒りそうだから、仕方ないので学校に行こう」などと判断していました。また、家にいる時は、家族が帰ってくる音を聞いて、玄関の扉を開ける前に部屋へ戻っていました。
G. 何か心の支えになることはありましたか?
とにかく何も考えたくなかったので、夢中になれるゲームや音楽、インターネットサーフィンにのめりこんでいました。
2. ダルボイ・アカデミーを選んだ理由
先に兄がお世話になっていて、元気になっていく兄の姿を見ていて、「私もこうなりたい」とあこがれていたところ、兄が私も家で引きこもっていることを当時のスタッフに話したそうで、入塾の面談を入れていただくきっかけになりました。
3. 元気になったきっかけ
いくつか段階に応じてきっかけはあったと思いますが、一番大きかったのは、入塾して間もなく、兵庫県淡路島にあった全寮制の元気回復学校「チューリップの館」に誘われたことだと思います。環境を変え、当時手放せなかったゲームや携帯を手放し、自然の中で他の塾生と規則正しい生活リズムで農業や勉学に励む、まさに晴耕雨読の日々を通して、身体をしっかりさせ、心を耕し、元気を取り戻していくことができました。
4. 今の自分と昔の自分、一番変わったところは何ですか?
感情を表に出すことができるようになったところだと思います。
不登校を始めた当時は自分の感情を出すのがとても苦手で、無表情、無反応、いつも下を向いて心を閉ざしていました。今でも得意な方とは言えないかもしれませんが、自分の思いを表情に、ことばにして表現できるようになったのは、大きな違いだと思っています。
5. 今の不登校生へ(参考にしてください、マイエピソード)
振り返れば私は幸運なことに、大事な時に周りの人から変わるきっかけやチャンスをもらっていたと思います。引きこもっているとき、「このままではいけない、何とかしなくては」と思いながら、自分から動くことができずに焦燥感を募らせるだけだった私に、入塾のきっかけをいただきました。以来、前述の「チューリップの館」に入寮するときも、日本の学校が合わないなら海外に行けばいいとアメリカへの留学プログラムに参加したときも、折々に塾長をはじめ、様々な方のアドバイスや後押しがあり、決して偶然とは思えない絶妙なタイミングで次のステップへ変わるきっかけが与えられました。大事なのは、「変わりたい」という意志を持つことと、そこへ与えられる「チャンス」をためらわないということだと思います。新しいことを始める時は、何であれ不安や心配がつきものです。でも、行動を起こさなければ何も変わりません。私の体験が、誰かの一歩を踏み出す勇気に繋がってくれれば、これに勝る幸せはありません。